6/11/2017

Mt. Tsurugi *Genjiro Ridgeline***





 毎月、トレーニング、試練と極上の景色を求め繰り返しております山行ですが、5月は様々なことが重なりお休みに。これもまた違った意味での試練なのでしょう。5月後半のサーフボード入荷ラッシュ、そしてピンダー・サーフボーズのトッド&マリさん来日、フィッシュフライなどが重なり、充実した日々が続く中、身体は限界を超えた状態となっておりました。そしてそのままの流れで以前より山岳ガイド多賀谷氏にお願いしていた剱岳に向かうことに。梅雨入り前の微妙な日程のため、事前の天気予報から直前で出発を1日遅らせることに。怒涛のイベント続きの後、トレーニングは満足にできませんでしたが、3日間で体調自体はなんとか山へ向かえる状態に戻すことができました。

 6月8日。始発の北陸新幹線に上野から乗車し富山を経由して、立山から室堂へ。自宅を5:30に出発し室堂ターミナルに10:40には到着。便利になりましたね。初日の天候はあいにくの風雨ですが、完全装備で別山乗越にある劔御前小舎へ。雷鳥平からアイゼンを装備し急斜面のトラバースをしながらトータル2時間45分ほどで初日の目的地である御前小舎に到着。ビショビショになってしまった装備は乾燥室であっという間に乾かすことができました。小屋のみなさん貴重な燃料を使っていただきありがとうございます。ちなみに小屋はガイドと自分二人で貸切。早めの夕食をいただき、明日の行程が長いので個室状態の広い部屋で19時には布団に潜り込みました。

 翌朝は2:45起床。3時に朝食をとり準備済ませると4時少し前に小屋を出発です。すでに明るくなりだした空は予報通り綺麗な青空。朝日に剱岳のシルエットが浮かび上ががる中、劔沢雪渓をひたすら長次郎の出合まで下り、そこから源次郎尾根を登り頂上を目指します。


長次郎出合から急なルンゼを500mほど登り込んだところが源次郎尾根I峰取り付きになります。ルンゼを7割ほど登ったところで方向転換時にまさかのアイゼンすっぽ抜けで、危うく滑落するところでした。雪山講習を受けた際、ピッケルでの停止訓練やっておいて良かったと実感した瞬間でした。多賀谷さんすみません。。。



I峰ではピッケルを背中に刺し、アイゼンで岩場を登ります。こういったところがとても楽しいですね。そしてI峰を下ると次はII峰です。

II峰とその先に見える剱岳本峰

右には八ツ峰

急斜面

振り返れば劔沢雪渓と頂上に御前小屋




II峰を快適に登りII峰の下りでは25mほどの懸垂下降。多賀谷ガイドにセッティングをしっかりしてもらい、気持ちよく一気に下ります。時間が稼げる分、安全確認を怠ると命に関わります。この後はスケールの大きな急斜面をアイゼンをきかせてトラバースし山頂を目指すだけ。今までアイゼンで不安を覚えたことがなかったのですが、出だしでの滑落未遂の余韻からか、劔のスケールの大きさからか特に左へのトラバース時になんどもアイゼンが抜けてしまい大きな反省点と課題を持っての登頂となりました。

ついにたどり着いた山頂では360度の絶景。金沢の街、日本海と能登半島も綺麗に見え、その眺めはここまで6時間の疲れも吹っ飛ぶほどでした。この日は完全に貸切の剱岳。(おそらくこの日も含め前後3日間で自分たちが唯一の登頂パーティー)しばらく休んだ後は下りです。一旦アイゼンを外し、カニの横ばいを経由し平蔵のコルへ。ここから平蔵谷の雪渓を一気に下っていきます。


雪渓を下り長次郎の出合まで下りましたが、ここから別山乗越まで650mほど登り返さなければなりません。登り返し最初の2時間ほどは劔沢雪渓の変化のない景色。なかなかしんどい単調な時間でしたが、心地よい風が時折心を癒してくれます。

まだ雪に埋まった劔沢小屋でしばし休憩。上に見えるのが別山乗越です。もうひと頑張りしましょう。

 出発から10時間20分、ついに御前小舎まで戻りました。1、5Lの水が最後になくなってしまったため、到着した小舎で飲んだコーラの美味しさは言葉で表せません。時間的に室堂から立山方面の最終バスに間に合いそうなので、30分ほど休んだ後、再度出発することに。雷鳥沢へ下った後の登りはそれほどのものではないながらも一旦止まったら動けない気がして黙々と登りこみます。汗だくになって登り切れば後は遊歩道をターミナルまで歩くだけです。そして16:30。この日出発から12時間30分ほどでついにゴール。
 2日間での行動距離約16km、行動時間15時間30分、累積標高差2400m+。特にこの数値の多くが2日目に集中しているので、とても良い充実した山行になりました。多くの課題や目標も見つけることができ、また今回の山行には少し経験不足でご迷惑をおかけしたところがあったにもかかわらず、次回の夏の山行も提案してくださった多賀谷ガイドに心から感謝いたします。また多賀谷氏とコンタクトを取ることができたのは富山ローカルの弊店常連様TM様あってのこと。本当にありがとうございます。また、度重なる連休をいただき、そして急な変更などもさせていただき皆様にも大変ご迷惑をお掛けいたしました。



 予備日を取り3日間で予定した山行でしたが、ギリギリで2日間でコンプリート。そのご褒美ということで、多賀谷さんに案内していただき温泉で疲れを癒し、美味しいビールで富山の海の幸に舌鼓を打たせていただきました。その晩は富山のビジネスホテルに泊まり、3日目は朝から富山城跡公園&博物館を巡り、早めの昼食に白えび天丼をいただいて東京へ戻りました。6月後半のカリフォルニア出張はジェフとの予定が合わず今年は断念。ということで、今月はしっかりとショップ対応に専念できます。普段の遅れを挽回するべく頑張ってまいりますので、何卒宜しく御願い致します。