11/25/2010

*Beauty of Spoon***

 ジョージ・グリノー氏が作り上げた「Spoon」は60年代後半にそのマニューバビリティーなどから当時のサーファー達に稲妻のごとく強烈な衝撃を与えた。グレッグ・リドル氏などは当時としては究極のグリノー・コンセプトをスタンドアップ・サーフィンの世界へと取り入れるべく研究を重ねモディファイド・ディスプレイスメント・ハルへと進化させている。
 
 サンディエゴのジェフ・マッカラムは、ある日、知人の所有する60年代に作られたスプーンにチャレンジする機会に恵まれた。その難しさに驚かせながらもこのウェイブ・ライディング・ビークルの存在感の見せられ、自らもシェイプしはじめている。昔ながらの製作方法では通常のサーフボードを作る何倍も時間と労力が必要であり、本当にボード・ビルディングが好きでなければ到底できるものではないだろう。。。
 さらに乗り味についてもきちんと自らがテストを繰り返してきている。オリジナルデザインでもあるシングル・フレックス・フィンからスタートし、サンディエゴのトラディションでもあるツインキール、さらにフレックス・キールへと進化し、最近はクアッドセッティングがメインになっているようだ。テール形状についても本来のアークテールのみならず見た目から少々危険な感じもしてしまうフィッシュ・テールも取り入れている。テストするブレイクもラホヤにあるポイント・ブレイクとクオリティーの高い波を選び、レイト・テイクオフからボトムターンし、バレルの奥深くからそのフレックスを生かした究極のスピードで幾度もバレルをメイクしているようだ。
 スプーンやリミテッドで作りだすシモンズなどには、サインのみで自らのマークを入れないところなどは、オリジナルに対し敬意を表している彼の誠意を感じることができないだろうか。。。
 
 
 
こちらはそんなMcCallum のSpoonの数々。
 メタリック・カラーにアートが施されたもの。
 一昨年のタバルアで餌食になったもの。
このカラーリング。
後ろから照明を当てると間接的な照明としても美しいだろう。。。

 こちらの2本もジェフがラホヤで乗り込んだスプーン。フィンやボードのいたるところがクラックだらけである。さらにリーフにヒットしたノーズの傷も痛々しい。しかし、実際にライディングを繰り返し傷を負ったボードをじっくりと眺めていると、不思議なもので傷の一つ一つが歴史のようなものを感じさせてくれる上に、なぜが真新しいものとは違った奥行きのある美しさを感じてしまう。。。
 
 チャンスがあれば、小さなスプーンのアート・ショーのようなものをしてみたいなどと考えたりもしている。