ゴールデンウィーク前半、まずは海友に連れて行ってもらいいつもよりも北へ。アウトではロング、インサイドのショアブレイクで短めという状況の中、ワイドなブレイクの中から切れた波を見つけて掘れ掘れの中サーフィン。今日初ライドとなるMcCallum 7'4" Dr. Dは、イメージ通りテイクオフは早く、ドライブの効いたターン後はシングルフィンの7’4”とは思えない動き。しかもドルフィンも出来るので、この日のコンディションでも十分楽しめる。ショアブレイクのためパドル量は少なくすんだが、ドルフィンスルーの数が多く肩にストレスを感じだしたころ、予想していたサイド気味のオンショアが強くなって来たため、少し粘って楽しんだところでこの日のサーフィンは終了となった。
今日はお客様からのリクエストにお応えしてボードについてもちょっと触れてみようと思う。
マッカラムと言えばダラービル・マーク、チャイムデッキや独特なカラーリングなど、独創的な表現手法で、今やサンディエゴを代表するオルタナティブ・シェイパーとなっている。
ポリッシュと言えば丁寧な仕上げが必要であり、一旦ポリッシュしたボードをサンディングすることなど常識では考えられないかもしれない。それをあえて細かいマスキング作業によって、サンディングのバンド・デザインを加えるのも斬新なアイデアのひとつだろう。ただし、だからこそそこには個性的な魅力が感じられる。そしてワックスによってそれがひっそりと隠されてしまうところにも、ジェフの美に対する感性の奥深さが感じられる。
個性的なシェイプが多く、モデルによって面白さも多岐に渡っているが、共通して言えるのはドライブ&フロー、そしてスピードだろう。このDr. Dはノーズ、テール共に他のモデルに比べ、かなりナローに絞られたのが特徴的なモデル。
チャイム・デッキと呼ばれる個性的なデザインがマッカラム・スタイルと呼ばれるひとつになっている。これはフラットに近いデッキデザインからレールサイドで一気に落とし込むというもので、マッカラムのボードを見ると3インチぐらい厚みあると勘違いされる方も多いところだが、実際にはボードの中心とレールサイドの落とし込み直前の厚みがほぼ等しくなっていることで(このボードは7フィート台で2&1/2")浮力を確保しながらも、一気に落とし込んだレールはボキシー過ぎず、厚みのより少ないボードのレールに近づいている。またご覧頂いて分かるとおり、このボードではセンターこそしっかりとボリューム感が出ているが、ノーズやテールのフィンサイドでは厚みはかなり抑えられており、特にテールエンドの厚みはミニマムとなっている。
ボトムに付いては、このモデルではレールサイドのコンベックスは一切無く、前足付近のシングルコンケーブ、ボックス前のシングルコンケーブはそれなりにしっかりと取られている。そしてボックスからテールエンドに向けて、ダブルコンケーブからヴィー・アウト。
こうした様々なデザインのバランスがフィットすることで、最高のフローとドライブが得られる。一見斬新すぎるデザインの中には、実は繊細なアイデアが織り込まれており、モデルによって(最近では同じモデルでも)アレンジを変えることで、異なったアウトラインやボトムデザインは多岐に渡りながらも、それぞれのボードにオンリーワンの個性と魅力が詰め込まれている。
時折マッカラムのボードは難しいなどと聞くことがあるが、探ってみればボードのオーナー様の意見では無かったりするのが面白い。かつてはクックボックスでジョエ・チューダーとのコラボボードを出していたマッカラムでは、現在ジョエルが所属するチューダー・サーフボーズでも新たに幾つものモデルをリリースしている。そんなジョエルはハードなバレルをチャージするパーソナル・ボードもマッカラムにオーダーしている。また最近はフィルム・メーカーとしても有名なサイライス・サットンもマッカラムにオーダーしたガンタイプのボードを屈指してバレルをメイクする映像を残している。シビアな波で、そして自身のブランドで使う為のボードを任せていることが一体どんな意味を持っているのか。それを考えれば答えは明確である。そして更にジェフ・マッカラム自身のブランドの持つ魅力、一本一本のボードに秘められた性能を試したくなるはずだ。