7/30/2019

July '19 Traverse the Northern Alps Last Day *奥穂高岳〜ジャンダルム〜西穂高岳***

 朝2:30。バイブアラームで静かに起床。そっと荷物を持ちロビーへ。ここで着替えをすませると、まだ食欲など出ない中、朝食の弁当を水で無理やり流し込む。万全の準備を済ませ、一晩お世話になった小屋に感謝の気持ちを込め一礼すると、3:58、ヘッドランプを点けいざ出発です。


 まずは奥穂高岳へ向け、いきなり階段と鎖が続く急登。すでに2日間で疲労が隠せない身体を労わりながらゆっくりとステップを刻み4:38奥穂高岳山頂。日本で三番目に高い山ですね。朝焼けの中、昨日向かってきた槍ヶ岳を振り返り名残を惜しみながらも、先が長いのでここはすぐに出発。


痩せ細る切り立った岩場を進み最初の難所、馬の背。A型に切り立った痩せ尾根で両側が切れ落ちています。昨年の下りではまだ暗いうちの通過でしたが、今回はしっかり明るくなってからなので、高度感もあり登りに比べると圧倒的に難しい印象。とりあえず人もおらず、ゆとりもあったので、途中で上を振り返り、股下を撮影したのが上の画像です。


そのさきのロバの耳への下り。そして画像にもある登りこみ&トラバース。自分はここの難易度がかなり高い印象。横歩きの箇所に歩く鎖場よりも、垂直に感じる下りや登りではクライミング要素が高くなっています。

上の画像の真ん中付近に先行者の方がいるのがわかるでしょうか。
このコースの難しさを象徴していますね。

そしていよいよジャンダルム。
先行者は熟練者のようで簡単そうに直登していました。
自分は裏へ回り確実な道から登頂。

5:42。
まずは無事にジャンダルム登頂。
3度目の黒い天使とのご対面です。


ここから天狗の大下り。足場も悪く、マークも不明瞭な箇所が多いので、じっくり観察し、一歩一歩確実に足場を確認しながら下ります。2回ほど冷やっとしたコースミス。下りでは間違えて進みすぎると足場が悪く2度と登り返せなくなるので、オヤっと思ったら即引き返しましょう。そして7:00天狗のコル到着。


画像は天狗のコルからの登り。
右下に垂直の壁を登る先行者が見えますね。
ここからは降ったら登り返しの繰り返しになります。


登って下って。

7:24。天狗岳山頂。
山頂といっても岩の寄せ集めのよう。
lこのコースの足場やホールドの悪さがイメージできますね。

下って登って。。。


 途中足捌きの悪い対向者が小さな石を一つ落としました。そして、最後は斜面一面が崩れ落ちるような大きな崩落に。。。このコースに必要なのは、体力、精神力、そして何よりも落石を落とさない足さばきです。フットホールドの選び方、体重の乗せ方、蹴らない歩き方、奥が深いです。

間ノ岳への登り。
こちらから見る間ノ岳、カッコいいですね。


ここでもこうして引き伸ばすと対向者の姿が見えますね。

8:12。
これでいて間ノ岳山頂なんです。
対向者の方が見落としてわからなかったといっていましたが、
岩に書いてあるだけなので、画像でも良く見ないとわかりませんね。

ここは大きな岩クズの壁。
この足場の悪さです。。。

しかし下れば、登る。。。
すでに体力、筋力は自分のイメージでの限界は超えていますが、
トレーニングの成果か、気を引き締めればまだまだ行けそう。
最後に事故が多いので、ここからさらに気を引き締めてもうひと頑張り。


来た道を振り返る。
9:20。
P1到着。いよいよ次のピークが西穂高岳です。

 9:34、誰もいない西穂高岳山頂。ここからもいくつものピークを超えて11:34、西穂山荘に無事到着しました。途中無理せず、休憩時間もしっかりとり、ほぼ予定通りの到着です。ここで最後に抜かれた同じコースを歩いた方と握手で成功をたたえ合いました。
 ここから当初の予定では上高地へ下りますが、台風の影響から午後の天候も怪しいようですし、体力も精神力もかなり消耗しているため、より短い時間で下山できる新穂高ロープウェイ駅までの下山をチョイス。昼食後、53分で12:53に駅到着。大縦走もいよいよ完結です。ここでも最後に一緒になった方と成功を讃え合いました。しかも登り口こそ違えど、彼も槍から2日間でここまで来たそう。思わず固い握手。

 実はこれが今回ここへ下山してよかったと思える出会いになりました。自分は松本までバスを乗り継ぎ、あずさで東京に帰ると話すと、マイカーで来ている彼は、「これもなんかのご縁ですし、どうせ松本から高速に乗るので、駅まで送りますよ。」「ただ、汗流したいので温泉によりますけど、良いですか?」だそう。最初何度か遠慮させてもらいましたが、自分ももちろん三日ぶりにお風呂(温泉)に入り、着替えて帰るつもりだったので、彼の勢いに押されて、お言葉に甘えることに。
 車の中ではそれぞれの身の上話をしていたのですが、実は彼、FMさんは「仕事は酒を作ってます。」だそう。しかも自分も時折愛飲している宮城の一ノ蔵の作り手なんだそう。そこからはすっかりお酒の話で盛り上がり、気がつけば松本駅。お礼の言葉を述べ、帰路につきました。(藤森さんには感謝の気持ちを込めて、昨日、東京らしいお酒の肴を送らせてもらいました) お酒が大好きで、利き酒をして回ったりと研究熱心な彼。特に宮城愛、一ノ蔵愛をひしひしと感じ取れるこんな方が作り手だと思うと、一ノ蔵がより良い酒だと思えてきますね。一ノ蔵。大規模な酒蔵でないからこそ作れる本当に良い酒蔵だと思います。ここにリンクを貼るとなんだかわざとらしくなってしまうので、気になる方がいらっしゃれば、是非グーグってみてください。

今回の縦走、3日間の山行は、
行動時間約29時間。
累積上昇高度4,137m
累積下降高度3,435m
消費カロリー8,576kcal
歩数96,971ステップ
しかも筋肉疲労はあったものの、筋肉痛がなかったのは、
ここ1年ほど取り入れてきた普段のトレーニングが、
かなり効果があることを実証してくれました。

 今回肝心な箇所は予定通り完結できたものの、最後の最後、下山路だけはコンプリートできませんでした。結果、まだまだ詰めが甘いということだと思います。今まで以上に日々のトレーニングに力を入れ、人を敬う気持ちをよりしっかりと持てるよう、日々精進していきたいと思います。山行日記にお付き合いいただきありがとうございました。さて、今週はサーフィン!