6/10/2023

Hakkaisan Mountains, June 8th 2023***




 6月の登山は、以前から山友SMさんと計画していた甲斐駒ケ岳、黒戸尾根に一泊二日で向かう予定でした。皆様もご存知の通り台風の影響から前線が刺激され予報は悪くなるばかり。1日だけでも雨がもってくれたらと、行き先を八ヶ岳に変更して何案か準備してみたりもしましたが、結果、予報が悪く中止に。
 まだ諦めきれず、色々考えた結果、木曜1日は天候が安定していそうな新潟にターゲットを絞り、以前から行きたかった八海山に向かうことにしました。
 前日お店を少し早く閉めさせて頂き、上野駅から越後湯沢駅へ。駅からすぐの温泉宿に素泊まりでしたが、レイト・チェックイン&アーリー・チェックアウト特別価格、さらに直前予約のスペシャルプライス。就寝前と起床後はゆっくり温泉に浸かり気分爽快です。


***八海山はどちらかというと銘酒のブランドとして有名ですが、峰続きの中ノ岳、越後駒ヶ岳と共に南魚沼にある越後(魚沼)三山の一つとしても有名です。険しい岩峰からなる山頂部の山頂部の八つ峰がこの山の象徴と言われ、古くは行者の修行や信仰の山として開山された名峰です。


 上越線始発とタクシーを利用し八海山ロープウェイの7:30早朝便で、山頂駅へ。ロープウェイを待つ間に見上げる八海山。右の方に見えるギザギザしているところが八ツ峰と呼ばれる難所です。


 7:55。登山口(四合目)で安全登山を祈願し、いざ出発です。少し進むとこれから向かう先が見えてきました。この後は整備された登山道を進みますが、まだ数箇所日陰に残雪がありややウェットな箇所も点在。1時間ほどペースよく進み8:55、六合目にある女人堂に到着。すでに結構汗だくです。ここで10分ほど小休止。この先8合目までが割としっかりした登りなので、ここでおにぎりを頬張り、アミノ酸をチャージ。

 9:05登り出して少し進むと雪渓の残る斜面。ただし右に夏道がすでに顔を出しているので、数歩のトラバースはあるものの、念の為持ってきたチェーンスパイクは使わず登れました。その後も黙々と登ると「鎖場を登ればもうすぐ八合目」の看板。言われる通り鎖場ですが、ストックがあれば割と普通に登れる感じですね。ここまで日差しもあり結構暑いので、止まらずチューブから水分補給できるハイドレーションがありがたい。
 9:41八合目の薬師岳で軽く汗を拭い、すぐ先にある千本檜小屋まで進むと、ここで20分ほど休憩。ストックをしまい、ハーネス、セルフビレイ、下降器とヘルメットのクライミング装備に。そしていよいよ核心部の八ツ峰へ。

***八ツ峰は、地蔵岳、不動岳、七曜岳、白川岳、釈迦岳、摩利支岳、剣ヶ峰と大日岳と八つの尖った小さな峰が連なっています。


 普段、我らがバディーAYガイドとバリエーションに入る機会が多いSMさん。赤岳、北穂高岳、前穂高岳、奥穂高岳ほか名だたる名峰も一般ルートではなく全てバリエーションルートから初登頂という強者です。今日は、ロープでの確保がないので、3点支持で1点を動かす基本をしっかりと守り、ミスがないよう進みます。最初は緊張感のある顔つきでしたが、動き自体はさすがしっかりとしているので、こちらも待ちすぎず丁寧にサクサクと進みましょう。


 当初は鎖を持たずにクライミングで行きたかったのですが、思いのほか時間がタイトなので、まずは鎖も軽く使いつつアップ&ダウン。自分的にはなんだかズルをしている気分ですが、いずれにしても超楽しい!
 10:12千本檜小屋を出発し、11:02大日岳(1720m)到着。当初の予定では、この先の最高峰、入道岳(1778m)まで登頂する予定でしたが、下り最終16時のロープウェイで、焦って下山したくないこともあり、入道岳までの往復1時間をカット。ただし、大日岳から入道岳へ向かう下りが一番長い鎖で楽しそうだったので、この鎖だけは一旦降りて登り返しました。

 ここでスメアリングの練習をしつつ、鎖を使わず登り返し。実は入道岳まで行った場合、時間を短縮するために八ツ峰を避け、まっすぐ進めるトラバース道もあるそうですが、今はまだ急斜面の雪渓が道を塞いでいるので、通行不可とのこと。ここが通れれば入道岳まで行って戻るのもゆとりでしたが、結果、鎖場の難所往復の方がより楽しいことに気づき結果オーライです。


 復路では、持参した30mロープで下降機を使っての懸垂下降も取り入れ、また、鎖を極力使わず、できるところはホールドを使ってクライミング。ペースもグッと良くなり、気分爽快。
 

 12:34千本檜小屋に戻りました。ここで装備と解きつつ休憩。下り分のおにぎり一個でエネルギーも補給します。
 順調に降り13:33女人堂。そして14:38無事登山口のロープウェイ乗り場に辿り着きました。

 行動時間6時間38分。獲得標高差997m。黒戸尾根の標高差に比べると半分以下ではありますが、核心部の内容も濃く、急な予定変更にしては十分過ぎる山行になりました。
 特にこの八海山、下から屏風道で登ると破線の難ルートで鎖も多くある様子だし、入道岳から先へ進むと上級者用の破線ルートで中ノ岳までいけるので、まだまだ何度も来るような予感がしております。

 下りのロープウェイに乗り携帯の電源を入れると、塩沢町(八海山のある六日町の隣町)に嫁いでいる妹からラインが入っており、今日は時間に余裕がるので駅まで送ってくれるそう。ありがたいお言葉に甘えさせて頂きお願いすると、途中、八海山酒造が営む「魚沼の里」に立ち寄ってくれて、驚くほどモダンな雰囲気のビール醸造所で出来立てのクラフトビールの飲み比べセットを堪能させて頂きました。
 最終送ってくれた越後湯沢駅でコインロッカーにデポした着替えなどを取り出し、駅中にある酒温泉(本当に酒が天然温泉に入っているんです)で汗を流し、美味しいへぎそばを食べて帰路につきました。


 前回の甲斐駒ケ岳、黒戸尾根の経験から、今回の登山では、登りの急登箇所での臀筋と脚付け根の筋肉の連動の仕方(これができると疲労度がかなり軽減)、一本ストックの効率の良いつき方(意外と大事)、下りでの足のつき方(踵がうまく使えると膝の痛みがかなり出にくい)、それからもちろんトータルでの足の使い方(抜足、猫足など丁寧な足捌きと、軸足にしっかり乗ることが、山行全てに良い効果が出る)と再点検&実行でき、実りの多い山行になりました。きっと山友SMさんにとっても良い経験になったと思います。
 以前甲斐駒ケ岳の七丈小屋でご一緒したサーファーのSYさんも、先日ご来店くださった際にタイミングが合えばと北アルプスなどで合流するかもしれないので、いよいよニュー・エボリューション・マウンテンも仲間が増えてきそうな予感です。
Keep Climbing!