岩稜帯の魅力は、その厳つさはいつしか美しさに、そして高度感は高揚感に変わり、一手一歩毎に岩と向き合い一つ一つの岩と対話し、全て自らの力で進むことができることでしょう。もちろん挑むためには経験はもちろん、日々の努力(トレーニング)は不可欠で、その成果としてこうしたルートに挑むことができるのだと思います。さあここから先も丁寧に、この道を一つ一つ点検整備する気持ちで前進します。
画像左上、そして画像右上は、いよいよ始まった急降下、そして急上昇の繰り返し。鎖があるところもできる限り鎖に触らず、必要な際もあくまでの補助として軽く片手で触る程度にして進みます。
画像左下は、小ピークから振り返った際P1に後続の大学生の姿が見えた時ものです。
そして画像右下は、すぐ目の前に現れた赤岩岳。崩れ落ちそうな岩が積み上がっただけの諸い岩山の姿がとてもかっこよく見えてきますね。画像に見えるように白い矢印を見つけ確実に進みたいところですが、この道ではマークは最小限なので、幾度となく見失います。そんな時はとにかく慎重になり考えましょう。慌てて進みX(バッテン)に進んでしまったりすれば、岩が崩れ落ちたり、戻ることができない危険な場所へ引き込まれます。
左上の画像では、逆光の眩しさの先に次のピーク間ノ岳、その上に天狗岳(天狗の頭)、そして左奥にジャンダルム方面が見えます。だいぶ近づいているはずですが、まだ先は長いですね。
右上の画像は、間ノ岳の山頂へ向けての斜面。下の2枚の画像のように、間ノ岳への登りは赤岩岳以上にただ岩を積み上げただけの様な恐ろしい姿。ここももちろん一歩ミスをすれば、起こした一個の落石が岩の大崩落になるので、ミスして滑落しないように足の置き場を確実に選び登ります。画像でこの登りの難しさが伝わるでしょうか。
いよいよ間ノ岳山頂直下の斜面です。西穂から歩く自分は登りですが、奥穂から来る方にはさらに緊張する下りになります。
左上の画像で足場の脆さがとても良く分かりますね。ただし、草が土に根付いて安定した岩もしっかり見受けられます。正確に⚪︎印や踏み跡をとらえ常に足はそっと置き、そして蹴り上げない事がとても大切です。
右上の画像は、同じ場所から下を覗いたものです。
左下の画像のように間ノ岳山頂が近づくにつれ傾斜が増してきました。風のない暑さと常に正面にある強い日差しで、もはやヘルメットからも汗がボタボタ滴る状態ですが、そんなことに構わず一歩一歩前進し、もう目の前の間ノ岳へ。
右下の画像を見るとなんだか谷底へ吸い込まれてしまいそうですね。
そして6時33分、出発から3時間30分ほどで間ノ岳までひとまず無事に辿り着きました。山頂に小さな安全地帯があるので、ここでザックを下ろし、美味しいおにぎりのお弁当をいただきます。そして、ひと息入れて景色も楽しみましょう。
左上の画像は、これから進む道。小ピークの先には天狗岳がはっきりと見えてきました。その先にはいよいよジャンダルムの姿もはっきりと見えてきましたね。
右上の画像では右の岩の下方にある⚪︎と矢印の少し上に「間ノ岳」の文字が見えます。これがこの山頂の唯一の目印です。そして赤岩岳、P1,と西穂高岳、稜線を歩く後続の人たちの姿もちらほら。
左下の画像は、15分ほど休んだ後、行動開始した際に捉えた天狗岳。手前の草付きのリッジのラインの先、天狗岳の登り前半に控える「逆層のスラブ」の姿も見えてきました。
画像右下のようにここからまず大きくクライムダウンした後に見える草つきのリッジラインも切り立っていますね。
左上の画像は、難所の間ノ岳の下りを降り切って振り返ったもの。画像左寄りの草の右側に矢印が見えますが、ここまで上から一気に降る感じです。なんだか以前はここにも鎖があった様な気もしつつ、ホールドを一手一手確認ししっかりとクライムダウンしました。(後に鎖が切れて落ちていたことがわかりました。)クライミングの経験のない方には結構難しい下りになる気がします。
現在の時刻は7時ちょうど。スタートから4時間経過したところで、左下の画像の様に、先の山々がだいぶはっきりと見えるようになってきました。汗をかいた分だけしっかり水分と必要な栄養素の補充は忘れずに。ハイドレーションでいつでも水を飲むことができるのがありがたいです。
右上の画像は、少し進んで草つきのリッジ付近からの間ノ岳の勇姿。こちらから見える間ノ岳の姿がカッコ良くて大好きです。
右下の画像の様にいよいよ迫力ある天狗岳が目の前に迫ってきました。
左上の画像のように登った分だけ、天間のコルへ一旦大きく下ります。下りも常に落石を起こさない様、足の置き方に要注意ですね。
そして右上の画像は、ついに目の前に迫る逆層のスラブの勇姿。
左下の画像でお分かりのように積層が上に向けて積み重なっていることがお分かりでしょうか。こうした特殊な形状から一旦雨に濡れるとフリクションが効かず、とても難しくなるんです。
右下の画像は7時28分、逆層のスラブを通過中のもの。今日はドライなので、クラックなどを支点に使い軽快に登ります。
続く。