今週のお休みは金曜、土曜と南房総の海の家へ。ウェットを着込み、ビンテージのリドルを積み込みあちらこちら回ってみたものの、波とシンクロできるようなうねりはどこにもなく波打ち際でビジなーのスクールをしているのみ。。。ということで、残念ながらノーサーフィンでした。そして土曜もさらにサイズダウン。というか小さ過ぎて差がわからない程でした。リドルの画像も撮ってあるので後日今日のようにご紹介いたします。
ということで、今回は自分のコレクションの中から、マッカラムのレアなフレックステールをご紹介いたします。
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マッカラムもまだ若い時期には、さまざまな試行錯誤を繰り返し、斬新なサーフボードをすべての工程を自分自身で進めてハンドクラフトしていました。ニーボードのスプーンに始まり、サンディエゴのエッセンスを加えたツインフィン・スプーン、そしてハイドロダイナミカよりも早く、ボーゲス氏に直接承諾を経てミニシモンズを作りました。自分がサンディエゴで唯一見つけた展示用のミニシモンズは、まだどのブランドからも商品化されていない時期に、自分が運命の出会いをした一本でした。ジェフ・マッカラムの魅力の一つに、スプーンやミニ・シモンズを作り出した際、オリジナルにリスペクトをしてマッカラムのマークを入れないというこだわりも見せていました。その後しばらくしてスタンドアップ版のスプーン制作の際には、プロトタイプで行き詰まってしまったジェフに自分のアイデアをぶつけ、結果ライディング可能なプロダクトになった経緯もあります。
フレックス製という意味合いでは、ニーボードのスプーンをジェフ自らビッグロックのバレルでテストライドを繰り返した結果、フレックステールを取り入れたの限定版ミニシモンズ、2本のみ制作されたハル、そして今日ご紹介するエッグへと進化して行きます。
こちらのエッグ。まずボトムの形状の通りアークテールにシェイプし一旦仕上げます。そしてボトムのみラミネートをするのですが、その際、デッキ側を削り落とすことを計算し、フレックス部の強度を得るべくクロスを綺麗にレイヤリングして行きます。そしてデッキ側をエッグテンプレートのラインに合わせ削り落としラミネートしていくことで、ボトム側にはアークテールの形状を持たせ、デッキ側にはエッグ・デザインと、ボードに二つの表情を持たせつつ、フレックス部分を綺麗に作り上げています。
過去の経験からフレックス部分にはある程度硬さを持たせ、フォーム部分がダメージを受けにくくしつつ、アークテールのテイクオフ性能、そしてエッギーなフレックステールの切れたターンやボードの推進力を得る構造に仕上げてあります。今作ったら、工場を行ったり来たりの上、経費もかなり上がっているので、とても高額になってしまうでしょうね。
だいぶ乗り込まれた痛みの多いジャンク気味のコンディションで戻ってきたのですが、綺麗にレストアしていただき、ライディング可能な状態にしてあります。この年末年始のお休みにでも乗り味を味わってみられればなどと企んだりしております。
今ではあまり攻撃的なシェイプをしないように見えるジェフ・マッカラムですが、若い頃にはこうしてとても斬新なアイデアのサーフボードを幾多にも生み出してきた奇才(Shaper of Genius)なんです。そんな姿は今では当たり前となっている1ドル札やこのボードにもあるようなただ貼り付けるだけのマークなど、他のシェイパーでは思いつかない唯一無二のアイデアからも感じ取れますね。
今ではアメリカはもちろん、若手のシェイパーやオーストラリアのシェイパーにも浸透しているチャイムデッキ、フラットデッキと呼ばれるデッキやレールの形状を現代に定番化させたのはジェフ・マッカラムだということをあえて言わせていただきます。某南の大国のあるシェイパーは、ジェフに質問をなん度も投げかけた後、フラットデッキを削り出しモデル化したそうです。そこにリスペクトはあるのか、過去にスプーンやミニ・シモンズにブランドのマークを入れなかったり、またボンザーを削り出した当初は"C/S"とフィンに明記し、メキシコ語でリスペクトを表したジェフ・マッカラムの姿勢と比較してしまいます。
こうして今では、さまざまなトライの結果として、マッカラムのサーフボードは、シンプルイズベストのシェイプに見えてしまいますが、実は常にマッカラム・スタイルのドライブ&フローやスピードなど、マッカラムならではの乗って分かる面白さが常に詰まった唯一無二はシェイプなんです。
余談ですが、ジェフが大学生の頃、クリステンソンの工場で自分のボードをラミネートしている際、真っ黒なボードを作るジェフを見たクリスは、黒は剥離するからやめておけといったそうです。ジェフがマットブラックのボードばかり作ってサーフィンをしているのを見ていたクリスも、その後ブラックのサーフボードを作り始めたり、今では多くのブランドが真っ黒のボードを作っていますが、そんなカラーリングの走りも奇才、ジェフ・マッカラムだったりするんですね。