2/26/2017

3月の山行 *Akadake Mountain again***


八ヶ岳蓮峰の最高峰、赤岳
2899m


 3月の山行は23日&24日の二日間で八ヶ岳の赤岳に。1月始めに山頂を踏めなかった分、再挑戦気分であずさに乗って出発です。23日午前中は大荒れの予報なので、11時頃から登山口の美濃戸口にある八ヶ岳山荘で雨が上がるのを待ちます。12時を過ぎても上がる気配がないので、雨の中スケートリンクのように凍結した林道を黙々と登山開始。2時間ほどは雨の中、予定通り3時間弱で赤岳鉱泉に到着。

雨上がりの霧中に佇む
幻想的なアイスキャンディー

 この日の小屋は香港からの団体さん(30人ほど?!)で平日にしては賑やか。夕食時お向かいの唯一日本語を話すお二人を見ると、なんと独自のスタイルでエベレストに挑戦する栗城史多さん。食事後記念写真を撮っていただき軽く談笑。また翌朝は朝食をご一緒させていただき、短い時間ですが深いお話を聞かせていただきました。トレーニングのパートナーだった国際ガイドの江本さんも多方面で活躍する方でいらっしゃり、江本さんからも良いお話を聞かせていただきました。お二人に出会えたことは初日の天候が不安な中、この山行に踏み切ったご褒美だったのだのでしょう。そして、いつも快適な赤岳鉱泉にも感謝。


エベレスト・チャレンジで無くされた指を気にせず率先してピースサイン
自分も慌ててピース!



赤岳鉱泉前から目指す赤岳

二日目はゆっくり準備し7:50に小屋を出発。40分ほど進み行者小屋前でアイゼンとピッケルの装備に切り替え 、今日は地蔵尾根から登ります。が、吹雪いた後のトレースにはおそらく小屋のスタッフがつけてくれた踏み跡のみ。丁寧にステップを刻み階段前まで来ると階段からはトレースがありません。その後しばらく進むと吹き溜まりで腰までのラッセルに。表面がひび割れるような嫌な気配があるため、半分弱程登った所で残念ながら撤退することに。



 行者小屋まで戻ると、時間はまだあるので文三郎尾根から登り直します。こちらは何人か登った形跡あり。急登箇所もステップが出来ており締まった雪を一歩一歩アイゼンを効かせて高度を上げて行きます。風も弱く阿弥陀岳北陵や赤岳主陵に取り付く人たちの掛け声が時折響き渡る中、徐々に重くなりはじめた足を前に出し阿弥陀岳との分岐まで来ました。


先月登った阿弥陀岳
今日も北陵に取り付くパーティーが見られます

赤岳もバリエーションに人影が

そして文三郎ルート後半は、嵐の後自分が最初の一人
一歩一歩新しい足跡をつけていきます

気を引き締めてもうひと頑張り
トラバース気味に山頂直下へ

実は前半あった踏み跡はバリエーションへ向かったの人たちのもので、途中からは嵐の後自分が最初の登山者のよう。真新しい斜面を最初に踏みしめる贅沢な気分と何かあっても誰も気がつかない状況にスリルを感じる複雑な心境。そしてもう目の前にある山頂への距離がなぜか遠く感じ始めている時、バリエーションから回り込んだ栗城さん&江本さんと行き違い、彼らの言葉に背中を押してもらい無事山頂へたどり着きました。

バリエーションから上がった方に撮っていただきました
ありがとうございます


無事登れたことに感謝
そして下りはさらに気を引き締めて

こんな所にステップを刻み

分岐の看板もこうなると自然の作り出すアートの世界

登った道を下ります
登り同様に全く人がいません

膝の痛みが微妙に出てきたため時折足を休めながら、締まった急斜面で確実にバランスを保って丁寧に下り無事行者小屋に到着。ここで装備を解き南沢から下山します。

南沢から赤岳にお別れのご挨拶

南沢の下り後半は凍結箇所多数。アイゼンなしでは時間もかかり危険な所もありましたが、美濃戸山荘までは丁寧に足場を確保しノーアイゼンで。ただしここからの林道は完全凍結で通行止になる程なので、無理せずアイゼンを再び付けて下ります。16:00美濃戸口到着。最後にJ&Rと言う登山口にあるレストランで生ビールと遅いランチ(お腹空きすぎで写真撮り忘れました)。また来たいと思わせてくれる素敵なお店でした。

 今回の山行では、骨盤の角度と体幹への意識を再確認しながら、呼吸法も考えて行動をしてみました。しんどくなるとそんな意識も薄れてしまいますが、実はそんな時こそ意識することで身体が楽になる事もよく分かりました。分かりながらもそれを継続できない甘さ、まだまだ修行が足りないようです。千日回峰行をされた慈眼寺住職の言葉に「歩くことで自分の限界を知り、歩く事で自らを成長させて来ました。」という言葉があります。「限界を感じ、死に直面する事で自分がちっぽけな存在であることを自覚。至らなさを感じ反省する事で謙虚な心が芽生え、大きくなれる。謙虚さは日々出会う人々に対する敬意と感謝する心をくれます。そして互いを敬いながら楽しい時間を共有した時、人は幸せを感じるのです。」自分の大好きな深く重い言葉です。千日回峰行などとは比較することもできない些細な山行ですが、ちっぽけな自分でもこうした山行で心技体共に少しずつでも成長する事ができればと思います。長々とくだらないブログにお付き合いいただきありがとうございました。


*千日回峰行については「山と渓谷」(山と渓谷社)より一部引用させていただきました