2017年初秋の北アルプス 槍穂高縦走第4日目。快晴。膝が万全であれば、今日は今回のメインコースとなる奥穂高岳から西穂高岳へ向かう予定。夜中もいっとき目が覚めてしまい膝が西穂高山荘まで保つか悩んだりもしましたが、考えても答えは出ないので再び熟睡。朝4時前にバイブ・アラームで起床し、暗い中朝食の弁当をいただくと、小屋前から最高の日の出を眺めるのはパスして出発の準備を進めます。
お世話になった穂高山荘に一礼し、偶然出発前に再開したテント泊のKKコンビと別れの挨拶をするとまずは急登から始まる奥穂高岳に向かいます。快晴の中、1時間もかからず山頂に到着。
山頂へ向かう途中から眺める今回歩いてきた縦走路。
槍ヶ岳、間ノ岳、中岳、南岳、そして北穂高岳、涸沢岳
奥穂高岳から見えるジャンダルムの雄姿
日本で3番目に高い奥穂高岳(3190m)からの眺め
登りではそれほど膝の痛みがないものの、やはり違和感が強く痛み止めは出発前にすでに服用済み。山頂まで来る際に一緒だったソロ2名のうち一人が黙々と馬の背へ向かう中、もう一名は前穂からの下山予定をジャンダルムへ向かうことに。自分も彼に引き続き馬の背方面へ。尾根が急激に痩せ始める馬の背少し手前でもう一度屈伸をして膝の調子を確認。やはり良い感触ではありません。。。膝の不安がある中ハードな西穂高への道は、最悪途中でビバークも考えられるので、悔しさマックスの中でしたが結局断念。。。吊尾根から前穂高岳を通過し上高地へ1日早く下山することに苦渋の決断です。
進路を変えた吊り尾根と前穂高岳
右上、ジャンからの下りの先に見える、天狗の頭、間ノ岳と西穂高岳。
来年こそ
吊り尾根から重太郎新道も事故が多いルート。
先には渋滞が発生中
今回は西穂高に向かわず結果良かったようです。吊り尾根へ進路を変えると10分ほどで痛みが出だしてしまいました。前穂高直下の紀美子平までなんとかたどり着くと、携帯の電波をチェック。山では基本ドコモだけが通話できるのですが、ここでは運良くソフトバンクも圏内に。iPhoneを使いその場でバスのネット予約変更を完了。往復1時間の前穂高岳山頂は膝の具合からパスし、常にキネシオテープ、サポーターで固めた膝を、パンツの上からさらにきつく締め上げて、下山再開です。
青空の下稜線が見渡せる西穂高岳方面
重太郎新道をだいぶ下り
右下見えて来た岳沢小屋とまだ遠い上高地
結局、終始痛みと戦いながら遅くならない程度のスピードを維持してなんとか上高地にたどり着きました。一番歩きたかった道に足跡を残せなかったので、充実感より悔しさが強い最終日。ただし、今日は我ながら良い判断だったと考えるべきなのでしょう。4日ぶりのお風呂に入りさっぱりすると、美味しいビールをいただいて、バスで東京へ戻ります。
今このブログを書いていても未だ悔しさが残る山行でしたが、振り返ってみると、一気に槍の麓まで登った初日、嵐の中誰もいない稜線を南岳小屋まで歩いた2日目、そして偶然の出会いから三人で大キレットから涸沢岳まで歩いた3日目とそれぞれがとても充実した一日一日でした。また最終日、奥穂から痛みに耐えながら下った5時間半は、下りでのポジションと歩き方をもう一度考え直すきっかけをくれたのだと思います。そして今回も普段の生活の中では出会うことのできない世代を超えたたくさんの方々との出会いは、どれも一つ一つが大切な財産になったと実感しております。悔しさをバネにすることも含めて今回の山行全てが、また全ての出会いが、ちっぽけな自分自身が人として成長することにプラスになったのではないかと思います。
この山行の後は手首の腱鞘炎の悪化もありサーフィンができていません。以前なら無理してでもサーフィンをしていたでしょうが、我慢し癒すことで先のサーフィンの充実を期待できる心のゆとりは、年齢からくるものだけではなく、こうした山行が精神力にも影響しているのではないかと思います。波待ちや波を見る際のメンタル、ライディング時の体幹と脚の安定などサーフィンにおけるメリットも大きく、手首が治ったら今まで以上に楽しくサーフィンができそうな気がしております。
くだらない山行日記にお時間を割いてお付き合いいただき、ありがとうございました。画像などで山を少しだけでも楽しんでいただき、気分転換をしていただければ嬉しいです。