ご興味のない方はスルーしてくださいね。時間があるようでしたら写真だけでも気分転換にどうぞご覧ください。
甲斐駒ケ岳は1816年に開山されたといわれる古くから信仰の対象となる霊山です。今回の登山道は黒戸尾根といわれる修験道のための歴史ある道になります。登山口には駒ケ岳神社前宮がありますが、本院は山頂に鎮座。つまり本院へ参拝するためには黒戸尾根を登る必要があるということになります。そしてこの登山道、実は日本三大急登と言われており、770mの登山口から2967mの山頂までの標高差は約2200m、距離も8kmほどあるので、危険箇所は少ないものの(*1)しっかりと山に登ることができる身体が必要な道というわけですね。
*1)登山道が鎖や梯子でしっかりと整備していただいておるおがげですね。またクライミングや岩稜の経験の有無により難易度は変わります。
特急スーパーあずさ1号の車窓より望む甲斐駒ケ岳
尾白川渓谷にある竹宇駒ケ岳神社より山行開始
今回は車で来るか悩みましたが、山頂の雪の状態や膝の状態により下山道を選べる選択肢もあるので電車を利用することに。7時新宿発のあずさ1号に乗り、小淵沢駅で下車後タクシーで尾白川渓谷にある登山口に到着。9時20分、登山届けを登山ポストに提出し、神社で安全登山を祈願して出発します。
神社脇の吊り橋を渡ると樹林帯の尾根道をひたすら登りますが、どの山へ行っても長い樹林帯の退屈とも思える登りこみは、自分たちの生きる下界から神聖な山へ脚を踏み入れるため必要な儀式ではないかと思うようになりました。身体が登りに馴染むまでのこの2時間程度の登りだしは、いつも一番きついところです。
2時間少々登った付近から望むまだ遠い山頂
(中央右の冠雪のあるピークです)
登りだして2時間弱で笹ノ平といわれるもう一つの駒ケ岳神社からの登山道と合流する地点に到着。想定よりも汗が多かったのは前日までの不摂生のためでしょう。ここで15分ほど休憩し早めの昼食を頂くことに。休憩中に歩荷の方が通過。おそらく七丈小屋の前の主人でしょう。登山道の整備が行きわたっているのもこの方のおかげです。感謝。
刃渡
ひたすら登ります
仙丈ヶ岳と左に小さく富士山
刀利天狗
休憩後は身体が清められ山に馴染んできたらしく、一歩一歩しっかりと大臀筋に乗ることを意識し、脚を正しくより効率よく使える意識を保ちつつ、良いペースで黙々と登り込みます。刃渡といわれる痩せ尾根の箇所を通過し、2049mの刀利天狗を13時16分に通過。
日陰には少し雪が残ってます
五丈石
黒戸山を巻いてこの登山道で唯一緩やかな道を進みわずかに下ると丁度14時に五丈石のある五合目の鞍部付近に到着。ここまで4時間24分。ここまでコースタイム5時間半のところを急がず細かく止まらず自分の理想のリズムでここまで登り、休憩を除けば4時間をわずかに切るペースは好感触。ここまでに出会った人は5名程度と静かな山行ですが、ここで丁度登り休憩中のソロの方とご一緒させていただき、日溜まりの中いろいろと情報交換。ここからはコースタイムで70分程度なので結局30分弱、栄養補給などをしながら会話を楽しみ、七丈小屋目指し最後の梯子と鎖のセクションを進みます。
五合目小屋跡付近
ここから梯子と鎖が多くなります
橋と梯子
石塔
法剣
積雪期は結構ハードになりそうな箇所
七丈小屋に到着
15時15分、無事小屋に到着。平日なので小屋はガラガラかと思いきや第一小屋30人定員のところ今日は24名程度とかなり混雑。やはりパタゴニアのアンバサダーをされている花谷さんが今年春から経営をされるようになったからでしょうか。今日は丁度前の管理人さんも入らっしゃるので、豪華フルキャストという感じ。夕食の際は途中ご一緒したYDさん、ソロの女性や山の大先輩と一杯やりながら話が盛り上がります。大先輩の山行歴もかなりのものでしたが、一番驚いたのはこの方の実弟が実は前七丈小屋のご主人ということ。最後には無口で有名な前オーナーさんとも貴重な会話を楽しませていただきました。そして外にある水場で満天の星空を見上げながら歯を磨くと、20時の消灯に合わせて電気も自分自身もスイッチが瞬時にオフ切り替わりました。